
“王道の華やか俳優” 西垣匠の素顔が覗けるリアルトーク
31 Jul 2025
2021年にデビューすると出演した作品がたびたび話題作になるなど、今最も注目を集める俳優の一人で
ある西垣匠。第一印象で惹かれるのは王道の華やかさ。話していくうちにわかる等身大の魅力。それでいて掴みきれないミステリアスさ。この三角バランスが柔軟に配分され、あらゆる役に表現力として昇華される。湿度を帯び、常に冷静に物事を観察するその瞳には何が見えているのか……。すべては彼しか知り得ない。だからこそ、彼についてもっと知りたいと思わせるのだ。
─ 久々のご出演でしたが、いかがでしたか?
楽しかったです! 以前出演させていただいた時は2年前でしたよね!? そのときは爽やかな仕上がりでしたが、今回は気怠い色気というか、大人っぽい一面を表現できたと思います。26歳になったのですが、最近は芝居の役柄や、こういったモデル撮影のイメージなども、色気やダークな雰囲気をリクエストしていただくことが増えてきて、求められるものの変化に挑戦して応えていくことにやりがいを感じています。
─ いちばん好きなルックを教えてください。
どのルックもおしゃれで迷いますが……、開襟シャツにハーフパンツを合わせた、オールホワイトのスタイルがとくに好きでした。夏はできるだけ涼しく、快適に過ごせることを重視して洋服を選びがちなのですが、素材や着心地が良くて、それでいてデザインも好みだったので、僕の希望をぴったり叶えてくれるコーデでした。私服としても取り入れてみたいです!
─ メイクはいかがでしたか?
全部素敵でした。完成して自分の顔を見た時にどのメイクもなじんでいて、“メイクしてる”感をそこまで出さずにいつもと印象を変えられるのはいいなと思いました。
─ プライベートでメイクやネイルはされますか?
プライベートではしませんが、オーディションなどでメイクさんがいないときは、清潔感を出す程度にセルフメイクをすることもあります。コンシーラーで気になるところを隠したり、リップクリームを塗って血色をのせたり、ちょっと手を加えるだけでもだいぶ顔の印象が変わりますよね。

─ お気に入りの香りはありますか?
お香はウッド系やフローラル系など軽めの香りを選ぶことが多いです。好きな系統の香りを伝えるとオリジナルのセットを作ってくれるお香屋さんがあって、そこでよく購入しています。秋冬など、季節によっては気分で重めの香りをプラスすることもあります。お風呂から上がって、寝る前のリラックスタイムによくたいています。香水は滅多につけないのですが、わりとたくさん持っています! でも仕事やご飯のときはマナー的にあまりつけないようにしているし、インドア派で休日もほとんど外出しないので、つけるタイミングがなくて……、コレクションとして置いてあります(笑)。
─ 今後、挑戦してみたいヘアスタイルは?
挑戦するなら今まで一度もやったことがない金髪にしてガラッと印象を変えてみたいですね。自分的に、襟足が刈り上がってるくらいのマッシュヘアが定番なので、今の髪型もわりと新鮮な印象です。役づくりと新たな一面を見せるという意味でも、襟足を伸ばしている時期なんですが、シャンプーやドライヤーにこんなに時間がかかるんだ!? って(笑)。髪が長い方は大変だなって実感しています。
─ 食生活で気をつけていることはありますか?
僕は食生活の乱れが肌荒れに直結するタイプなので、グルテンフリーを意識したり、なるべく体に優しいものを食べて腸内環境を整えるようにしています。肌摩擦に弱いってこともあるんですが、以前肌荒れした時に飲み薬を飲んだら一発で治ったんですよ。「じゃあこれ表面じゃなくて体内が問題かも?」って思ってから、とにかく腸内環境に気をつけています。
─ 自炊されるイメージがありますが、最近は何か作りましたか?
和風おろしハンバーグやジェノベーゼパスタを作りました。自分で言うのも少し恥ずかしいですけど、僕のハンバーグはお店を出せるんじゃないかと思うほど美味しいですよ! ジェノベーゼは、買いものをしていたときにジェノベーゼソースと松の実、ちょっといいベーコン、豆パスタを見つけたので作ってみました。味覚が結構鋭い方で味見すれば何を加えればいいかわかるので、調味料の分量を守らなくても美味しくできる自信があります(笑)。一人暮らしを始めてから本格的に自炊するようになったのですが、楽しいし気分転換にもなるので、ずっと続けていますね。
─ 体づくりで心がけていることはありますか?
鍛えなきゃいけないときにしかやりたくない派なので今は何もしていないですが、役づくりの一環で必要なときは、2~3カ月くらい前からジムに通い始めて、最後の1カ月でとにかく追い込みます。体を大きくしたいときは一度体重を増やしてから筋トレをして、痩せたいときは糖質制限をしています。糖質制限は食事のバリエーションが少なくなってしまうし、血糖値が下がりすぎるとストレス値が上がるのが自分でもわかるので、個人的には痩せる方が大変です。それもあって、必要なときにやるようにしています。
─ ご自身の性格について教えてください。
冷静な性格だと思います。自分のことを、常に俯瞰して見ている感覚があるんです。例えば、特別だと感じる出来事があったときも、一瞬嬉しくなるんですが、すぐに「他の人もきっと経験したことがあるんだろうな」と思ってしまうんです。「他の人が同じ経験をして特別だと感じることを、自分も特別だと感じるってことは、それってつまり普通のことじゃない?」って我に返るというか。だから、自分にとってどれだけすごいことが起きたとしても、ハイテンションになったり、めちゃくちゃはしゃぐみたいなことはあまりないかもしれません。
─ ちなみに、最近テンションが上がった瞬間は?
ゲームでレアアイテムが出た時かな(笑)。でも、そういう時はだいたい一人なので、小声で「やった!」って言うくらいです。仕事でもプライベートでも、落ち着きを保っている方だと思います。その半面、笑い上戸なところもあります。お笑いやゲーム実況のYouTubeが好きでよく観るのですが、笑いのツボが人と違うみたいで「え、今なんで笑ったの?」「どこで笑っているかわからない!」ってよく言われます。
─ 小学生の頃からフェンシングをされていて、ユース日本代表にも選ばれるほどの腕前ですが、試合のときも感情を露わにすることは少なかったですか?
フェンシングのときは声を出す方がノってくるんですよ。喜びの感情を表現するというよりは、自分で自分を鼓舞したり試合の流れを自分のものにするために、意識的に声を出すようにしていました。試合の流れを自分のペースに持っていくことに繋がるし、相手への牽制にもなるんです。どのスポーツもそうだと思うんですけど、とくにフェンシングは自分との戦いでもあり、いかに平常心を保てるかが試合の肝となるスポーツなので、「ダメかも」と思わないようにすることが重要なんです。フェンシングをやっていたおかげで、物事に動じず冷静さを保てる強さが自然と備わっていったのかもしれません。

─ 8月22日公開の映画『隣のステラ』の見どころを教えてください。
いい意味でキラキラ映画になりすぎていないところです! 人気漫画を実写化した作品で、芸能人と一般人の幼なじみの恋という憧れのシチュエーションで物語が進んでいくのですが、妹が原作を持っていて僕も借りて読んでいたので、出演のお話をいただいた際に「あの作品だ!」とワクワクしました。実際に台本をいただいて読み進めていくと、胸キュンセリフや青春のキラキラしたシチュエーションは原作の通り残しつつ、それぞれのキャラクターについてより深掘りされていたり、人間味を感じられるシーンが多くあって、松本花奈監督の「ただのラブロマンスでは終わらせないぞ」という意志がすごく伝わってきました。超王道ラブストーリーだけどヒューマンドラマを観ているような感覚にもなる作品に仕上がっていると思います。
─ 役柄とご自身の共通点はありましたか?
僕が演じる新堂理生は子役出身の実力派若手俳優という役柄なので、共通点は芸能人ということくらいかな。でも、俳優を役として演じることはあまりないと思うのでとても新鮮でした。劇中劇のシーンがあるのですが、『隣のステラ』のセットの中に、さらにドラマのセットが作られていて、それが「隣で別のドラマ撮ってる?」というくらい再現度が高くて面白かったです。1テイクのなかで2回カットがかかるのも不思議な感覚でした。劇中劇の方でカットがかかった時に気が抜けちゃって、危うく演技し続けることを忘れてしまいそうでした(笑)。普段、映画やドラマを作っているスタッフや僕ら俳優が見ても違和感のない世界観なので、映画を観に来てくださる方にも「ドラマの現場ってこうなってるんだ」ってリアルに感じて楽しんでもらえたらいいなと思います。
─ 現場の雰囲気はいかがでしたか?
同世代も多く、とてもいい雰囲気でした。(八木)勇征くんとは元々友達だったので初共演が叶って嬉しかったです。
─ 西垣さん的、胸キュンポイントを教えてください!
胸キュンと言えるかわからないですけど、僕自身、大学在学中に芸能界に入り、(福本)莉子ちゃん演じる千明側と勇征くん演じる昴側のどちらの立場も経験しているので、両方の気持ちに共感できたのが個人的には胸キュンポイントでした。「千明側だったらこう考えるけど、昴側だったらこう考えるよな」とか、「うわ、わかる~」みたいな、そういう楽しみ方をしていました。ぜひたくさんの方に劇場に足を運んでいただいて、それぞれの胸キュンポイントを見つけていただけたら嬉しいです!
─ ありがとうございます。最後に、この夏挑戦したいことを教えてください!
基本インドア派なのですが、以前カレンダー撮影で沖縄に行った際にマリンスポーツを体験して、それが楽しかったので、スキューバーダイビングをしてみたいです。水族館が好きでよく行くのですが、せっかくなら本物の自然のなかで生き物たちを見てみたいなって。昔水泳を習っていたので泳ぐのは比較的得意ですし、浅めの水深までなら免許がなくてもできるそうなのでめちゃくちゃやってみたいなって思ってます!

西垣匠
1999年5月26日生まれ。石川県出身。2020年に芸能事務所にスカウトされたことをきっかけに芸能界入り。ドラマ『夢中さ、きみに。』(MBS)で俳優デビュー。最近では、映画『六人の嘘つきな大学生』やドラマ『続・続・最後から二番目の恋』(CX)など数々の話題作に出演。8月22日公開の映画『隣のステラ』には、新堂理生役で出演する。
Photography: SHOTARO YAMAGOE
Hair & Makeup: YUDAI MAKINO @vierge
Styling: KODAI SUEHIRO
Edit & Interview: YUKA ENOMOTO
こちらの情報は『CYAN MAN 2025年8月号』に掲載された内容を再編集したものです。