庄司浩平 知性と感性で描く新しい表現のかたち
13 Dec 2025
すらりとした高身長に、中性的な潮流とは一線を画したワイルドな顔立ち。俳優・庄司浩平はどこか懐かしさを漂わせる独特の空気を纏い、見る者の視線を自然と引き寄せる。その姿には洗練さとゆるやかな力強さが同居し、知性と感性を自由に交錯させる独特の魅力が宿っている。話題作への出演で注目を集める今、彼の見えている景色、考えていることとは何か。自らの身体性と感性を武器に、独自の世界観を切り拓きながら、新しい表現者としての道を歩む彼の、今を追った。
─ 撮影はいかがでしたか?
渋谷はよく来る場所なので当たり前の光景に思っていましたけど、カメラを通して見ていると、やっぱり渋谷らしい色があって、独特の趣だったり雰囲気をあらためて感じることができました。そして撮影を口実に渋谷で寝っ転がるという初めての経験をしました(笑)。今回の撮影でのメイクの中ではとくにアイメイクがお気に入りでした。がっつりダークトーンまではいかないけど少しカラーが入っていたり、キラッと光る瞬間があったり、そういうさりげなさがおしゃれだし上品でいいなと思いました。飛び抜けたファッションとかメイクって、多くの方にとって難しいと思うんです。でも今回のように、爪やまぶたなどワンポイントならカラーも取り入れやすいし、許容範囲内で楽しめると思うんです。女性だけではなく、男性もメイクひとつで気分を上げられると思うので、そんなメイクの楽しさを読者の方々にもキャッチしていただけたら嬉しいです。
─ プライベートでメイクはされますか?
ほとんどしないです。元々そういう面に関しては疎い方で。でもわりと最近になってファッションや美容に少しずつ関心を持つようになってきました。じつは、香水を今年に入って初めて買ってみたんです。僕はウッド系の香りがあまり得意ではないので、どちらかというとフローラル系の香りのものを購入しました。周りに香らせるというよりも自分がたまに気づくくらいの量をつけるようにしています。
─ 美容ルーティーンはありますか?
季節によってスキンケア用品を替えるようにしています。湿度が高い季節にはさっぱりしたもの、乾燥する季節には高保湿のものを使うようにしています。あとはヘアケア。去年からドラマの役で、脱色やカラー、パーマを繰り返して、かなり髪の毛が傷んでしまったんです。その前まではバージンヘアだったのでとくにヘアケアはしていなかったんですけど、ここ1、2年はヘアケアに重点を置いています。いろいろ実際に使って試してみて、オイル系よりもクリーム系の洗い流さないトリートメントが自分の髪には合っていたので、クリームをつけてからドライヤーで乾かすようにしています。
─ ご自身の性格を一言で言うと?
頑固です。例えば、人からアドバイスされたとき、「ありがとうございます」って言いながら素直に受け止められないこととかあります(笑)。でもそれは全く聞いてないというのではなくて、そのまま飲み込むのではなく、一旦どこかに置いておいて時間が経ってから咀嚼するようにしています。でも現場では頑固になることはないんです。やはり現場ではセリフが急に変わるとか思ってたロケ地と違うとか結構あるんですけど、そこは臨機応変に、流動的に対応できるように心がけています。

─ 俳優として表現をしていくうえで意識していることはありますか?
“手の届く範囲で頑張る”です。もちろん、背伸びして頑張ることも時には大切だとは思うけど、チャレンジするべき瞬間と、今は結果を待つべきという瞬間の見極めが重要だと思っています。ただ、チャレンジするときのために、できるだけ多くのインプットをして、頭の片隅にいくつも引き出しとして持っておくようにはしています。よく本番になると練習の80%くらいになるって言うじゃないですか。それってみんな同じだと思っていて。みんな100点を目指しつつ80点の世界で戦っていて、運が良ければ100点、120点になることもあるし、時には赤点になることもあると思うんですけど、それはあって然るべきだと思っています。なので僕自身は、どうしようもできないことを気にしすぎるのではなく、タイミングが来たときに自分の範囲以内で思い悩んだり努力するようにしていて。欲張りになることもいいことかもしれないけど、体や心が追いつかなくなってしまうこともあると思うので、割り切ることも大事だし、それを逆にポジティブに捉えるようにしています。
─ 今後やってみたいお仕事はありますか?
小説を書く仕事を続けていきたいです。電子で一冊小説を出させていただいたのですが、これを続けながらいつかは小説家として、紙媒体としての小説を出してみたいです。元々読書が好きで日頃からたくさん本を読むのですが、今は文学の勉強という意味で読むようになっています。そうすると、今まで普通に読んでいたらわからなかった文学上のルールに気づくようになって、面白いし学びが増えています。役者としてはもっと求められる俳優になりたいです。そのためにもっといろんなジャンルの役に積極的に挑戦していきたいですね。あとはバスケットボールも好きなので、Bリーグをもっと盛り上げたり、NBAの仕事もできたらと思います。

─ 10月28日に発売された写真集は庄司さんが書き下ろした物語をもとに撮影されたとのことですが、見どころを教えてください。
写真集だけど、読み物として面白くしたいっていうのがきっかけで制作することになりました。正直写真集って一回観たら本棚にずっとあるってことが多い印象があって、それがすごくもったいないなって思っていて。なので、何回読んでも面白いものにしたいと思い、自分なりのアプローチを考えたときに出てきたのが物語を考えることでした。僕が創った物語を、編集部の方やカメラマンさん、スタイリストさん、ヘアメイクさんに読んでいただいて、それぞれが考えたアイディアを持ち寄ってくださいとお願いして撮影を行ったんです。なので、仕上がりは自分の予想通りのものもあれば、いい意味で予想外のものもあったり。物語もですが、みんなの意見が反映された面白い作品になっているので、ぜひたくさんの方に観ていただきたいです。僕は、役者として関わる作品や、自分が創る文章についても一貫して同じように考えているんですけど、受け手が自由に考えてほしいんです。だからこの写真集も手に取ってくれた方が好きなように、いろんな受け取り方をしていただければいいなと思っています。
庄司浩平
1999年生まれ、東京都出身。2020年に『魔進戦隊キラメイジャー』(EX)で俳優デビュー。近年は『仮面ライダーガヴ』(EX)や『40までにしたい10のこと』(TX)に出演し注目を集め、『NHK俳句』(NHK)にもレギュラー出演中。2025年10月発売の写真集には撮り下ろし写真と自身の文章を収録し、文学への関心を活かした豊かな表現力で新たな魅力を発揮している。
Photography TOMOYO TSUTSUMI @ende
Hair & Makeup OYA
Styling HARUKI UCHIYAMA @TRON
Edit & Interview YUKA ENOMOTO
こちらの情報は『CYAN MAN 2025年12月号』に掲載された内容を再編集したものです。