言葉と佇まいに滲む、俳優・庄司浩平の温度感

自身を語る所作に、俳優・庄司浩平という人間がそのまま表れている。言葉の選び方、ゆったりとした声のトーン、間の取り方、語感の美しさ─そのどれもが彼の世界観を静かに形づくっている。俳優として大きく躍進した2025年、目まぐるしい環境の変化のなかにあっても、彼は浮足立つことなく、自分がどこに立ち何を見据えるべきかを常に客観的に捉えてきた。謎めいたクールさやじんわりと感情が滲む役を演じる一方で、日常の彼は感情の温度を誤魔化さない。揺るぎない芯と静けさを併せ持つその佇まいは、時代の喧騒とは異なるリズムを聴かせてくれる。


─ 前回の撮影とは打って変わって、今回はメイクをしっかり施し、 “メイクで体温の可視化”を試みました。撮影してみていかがでしたか?

純粋にとても面白かったです。メイクはもちろんですが、サーモグラフィーカメラを使って体温を色で可視化するという試み自体も今までにない体験でした。ファッションの撮影はすごく好きなので、今日も「楽しい撮影になるだろうな」と期待して来たのですが、予想と全然違っていい意味で裏切られました。あと、マウスカフとピアスシールも初トライしました。庄司浩平という人間からは少し遠いようなアイテムですけど、ファッションという大きな名目がひとつあるだけで、途端に自分の一部になってくれた気がしました。むしろ「いいぜ、もっと着けようぜ」っていうくらい楽しかったです。ああやって実際に穴を開けなくても一日限りでできるので、メンズメイクやファッションが好きな人は、取り入れやすくていいですよね。

サーモカメラでは庄司さんの体温が赤裸々になる場面がありました。普段から体温は高い方ですか?

ちょっと高めです。平熱は36.7度くらいかな。でも子供の頃から末端冷え性なんですが、それも明るみになって、ちょっと恥ずかしいですね(笑)。あと僕、“思い出し笑い”はしないんですけど、“思い出し恥ずかし”が結構あるんですが、たまに10年前のことをふと思い返して、めちゃくちゃ恥ずかしいなって体 温が上がってしまいます。

─ 最近、人の温もりを感じた瞬間はありますか?

先日、写真集のイベントをやらせてもらったのですが、お子さんを連れて来てくださる方が多かったんです。僕は子供好きなのでグイグイ近づくんですけど、子供たちからしたら仮面ライダーが目の前にいるってことでみんな固まっちゃって。だから「おいで、おいで」って手を引っ張って写真を一緒に撮らせてもらったんですけど、子供って本当に温かですよね。すごくポカポカしていて。それこそ赤ちゃんとかワンちゃんとかもそうですけど、生きてる体温ってやっぱり実感があるというか。でも、その温もりが今の僕の日常にはないので少し寂しいです。しかも今はクリスマスシーズンなわけで(取材は11月下旬)。そんな人肌恋しいセンチメンタルな気持ちは、小説にぶつけています(笑)。

─ 今回、体温を表現することで色気も滲み出ていましたが、庄司さんが考える男性の色気とはどんなものでしょうか?

品がある人ですね。常識をわきまえて、TPOを理解して、許される範囲で外しとか遊びが利く人だと思います。すべてがズレていたらやばい人だと思うんですが、品があるだけでその遊びが色気に昇華される。身近な人で言えば、アルコ&ピースの平子祐希さん。平子さんはご本人が持っているペースや声のトーンで、平子さんワールドをつくり上げていて。それが芸風としても面白いんですけど、ふとした瞬間のエロスがあるんですよね。奥様とお子さんのお話もよく聞くんですが、お父さんや旦那さんの顔、つまり家庭的な顔をされているときでもなぜか色気を感じるんです。あと先日、僕の誕生日が少し過ぎた頃に食事に行かせていただいたんです。後日、「なんで誕生日のこと言わなかったんだ」ってLINEが来て、「もうあの時間が十分プレゼントでした」って返したんです。そうしたら後日、ふたりでショッピングした時に購入を諦めた古着を何げなくプレゼントしてくれました。その恩着せがましくない気配りにも平子さんの色気を感じました。うん、これで平子さん喜んでくれますかね(笑)。でも僕ももう26歳で、若さだけに頼ってはいられないので、そろそろ本気で色気を身につけないとなと思っています。

─ 前回メイクや美容には疎い方だとおっしゃっていましたが、最近買った美容アイテムはありますか?

スチーマーを買いました。ふるさと納税で見つけたので、試してみようかなと。テレビを観たり本を読んだり、他のことをしながらでもできるのであまりストレスや面倒くささがないんです。毎日だとトゥーマッチになりそうなので、週に3、4回使っています。効果はまだ見えないんですけど……、とりあえず信じて使ってみています。

─ 忙しい日々のなかでのストレス解消法は?

やっぱり美味しいご飯を食べることですね。あとはバスケを観戦すること。今の時期はBリーグもNBAもシーズン中だから、観ようとしたらとりあえず何かしらやっているので、冬はいい季節ですね。逆に夏は暇です。あとは、友達に会うこと。愚痴とか溜まっていることを言語化して聞いてもらうだけで解決しなくてもすっきりします。

─ 2025年は庄司さんにとって転機の年だったと思いますが、どんな年でしたか?

今までに「こうなればいいな」と想像していたことや妄想していたことが、実際に形になった年だったなと思います。ありがたいことに多くの方に知っていただき、様々な仕事の機会もいただきました。

─ 激動のなかにいると、自分のペースを見失ったり、本来の歩き方を忘れてしまうこともあるかもしれません。庄司さんはいかがでしょうか?

自分のなかでは自制していても、周りから見たら流されて見える瞬間って確かにあると思います。それが良くない方向に流れているのであれば、周りの人が止めてくれるだろうし、思い通りに物事が進まないことはどんなときでもあることだと思います。それにその流れは自分の意思だけで生まれるものでもありません。僕自身、2025年がこういう展開になると予測できていたわけではありません。ドラマ撮影の時に「これはもう大バズりするぞ!」なんて全然思っていなかったですし。期待するほど物事は膨らむわけではないし、だからといって失望するほど誰も見ていないってわけでもない。だからこそ僕は、自分のやり方は自分で決めるしかないと思っています。あと、よく“比較対象はあなた自身だ”みたいな言葉を聞きますけど、やっぱり他人と比較はしてしまいます。相対的に自分が今どの位置にいるのか把握するのは当然のことなので、仕方がないことだと思っています。ただ、それを公の場には持ち出さないで、さっき言っていたみたいに、友達や家族に聞いてもらう程度にしています。そうやって自分のペースを保つようにしています。

─ 2026年はどんな年になりそうですか?

2026年は、これまでに広げた風呂敷をちゃんと中身を伴ったものにしていく年になると思っています。自分らしく種をまき続ければ、お花まではいかなくても葉っぱが生えたり、蕾が出てくることが2025年でわかったので、2026年もその花を咲かせるために続けていきたいと思っています。過信せずに、自分の足りていない部分と向き合いながら、自分のペースでやっていきたいです。

庄司浩平

1999年生まれ、東京都出身。『魔進戦隊キラメイジャー』(EX系)や、『40までにしたい10のこと』(TX系)など話題作に出演し、俳優として確かな存在感を放つ。高身長を活かしたモデル活動に加え、文学の才を武器に『NHK俳句』(NHK)にもレギュラー出演。自身の文章を収めた2nd写真集『だから、ぼくは』(KADOKAWA)も刊行し、新たな表現で魅せる若手実力派。

Photography TAKANORI OKUWAKI @UM
Hair & Makeup KATO @TRON
Styling KANI
Edit & Interview YUKA ENOMOTO
Text SHIHO TOKIZAWA

こちらの情報は『CYAN MAN 2026年2月号』に掲載された内容を再編集したものです。