
国内外から注目を集める 樋口幸平の等身大の姿
01 Jun 2025
端正な顔立ちとスタイルの良さで、国内外から注目される俳優、樋口幸平。学生時代はサッカーで全国の舞台に立ち、役者のキャリアをスタートすればスーパー戦隊の主演が決まる。まさに物語の中の主人公のようだが、話すと親しみやすさが滲む。口角を片方だけ上げ、少年っぽいあどけなさと大人の色気が混ざった顔で笑う姿は独特の魅力がある。いろいろな顔を見せるその様は花のよう。色とりどりな華やぎを見せてくれる。
─ 撮影はいかがでしたか?
いろいろなファッションやヘアメイクができて楽しかったです。プライベートでここまでアレンジを利かせることはないですし、お仕事でもキメ顔とかカチッとした雰囲気で撮ることが比較的多いんですが、程良い抜け感を切り取ってもらったので、素の自分に近い表情を出せたかなと思います。
─ 印象に残ったルックは?
車と一緒に撮ったデニムスタイルがとくにお気に入りです。デニムが好きでよく着ますし、何よりヘアがすごく好みでした! というのも、普段は自分のクセ毛があまり好きじゃなくてストレートにスタイリングすることが多いんですが、クセ毛を活かしたヘアも自分に似合うんだなって。新しい発見でした!
─ チャームポイントを教えてください。
目です! お仕事でこの自分好きだな〜と思うときは、目元にポイントを置いたメイクをしてもらっていることが多い気がします。元々目力が強いので、やりすぎるとキツい印象になってしまうのですが、今日の撮影では陰影を引き立てるようなさりげないシャドウの入れ方や、目の下に色を置くことで、印象的な目元になりつつ、やりすぎな感じもしない絶妙なバランスが素敵だなと勉強になりました。
─ お肌がとても綺麗ですが、美容に興味を持たれたのはいつ頃からですか?
18〜19歳の頃だと思います。それまではサッカー一筋だったので、一切気にしてなくて化粧水すらつけていなかったですね。肌もすごく日焼けしていたし、眉毛もそのままっていう感じで。唯一、プレー中に邪魔にならないようスッキリさせておきたかったのと、モテたいという気持ちもあって、髪型だけ定期的に整えていました(笑)。お仕事を始めた頃から、少しずつ気を使うようになりました。
─ 美容に関するこだわりはありますか?
お風呂から出てすぐに、化粧水、美容液、乳液まで一通りのケアを済ませること。あとは、水をたくさん飲むようにしています。肌も身体も、乾燥を感じる前に水分補給するように心がけています。忙しくて余裕がなくなってくると、そのルーティーンでさえ面倒に感じてしまうときもありますが、スキンケアを怠ると肌コンディションが悪化して、余計に気分が落ち込むという負のループに陥ってしまう。整った肌の上から、メイクなどでより綺麗に仕上げていただく方が好きなので、最低限のスキンケアは毎日丁寧にやるように心がけてます。あと基本ですが、睡眠はやっぱり大事だなと感じます。それでも荒れてしまった時は、炎症を抑える薬を塗って、それが取れないよう上からばんそうこうを貼って、栄養ドリンクを飲んで寝れば完璧です!
─ メンズ読者に向けて、おすすめの美容アイテムはありますか?
スプレータイプの化粧水! スキンケアをしなきゃと思っていても、手順が多くて億劫になっている人も少なくないと思うんです。僕自身面倒くさがり屋なので、蓋を開けて、手に出して、さらに手からこぼれないよう気をつけて……、ってそういうのが地味にストレスだったりするんですよね。スプレーなら、顔に吹きかけるだけで済むのでおすすめです。
─ 体づくりで心がけていることはありますか?
元々細身で太りづらい体質なのが悩みですが、筋トレは学生の頃から欠かさずやるようにしています。とくに今は、胸を重点的に鍛えています。夏になるとTシャツ1枚などシンプルな服装になっていくと思うのですが、胸板が薄いと洋服に着られているような印象になってしまうので、上半身に筋肉をつけて、細身ながらもメリハリのある身体を目指しています。食事は良くも悪くもどれだけ食べても太らないので、あまり気にせず好きなものを好きな時に食べています。お菓子は滅多に食べないのですが、月に1度、梅系のお菓子を無性に食べたくなる時があるんです。まとまったお休みの前日に、カリカリ梅や、梅昆布、梅グミを買い漁って食べちゃいます。
─ 休みの日はどのように過ごされますか?
休日の前夜から、映画を2〜3本観ます。それからゆっくり起きて、夜は友達とご飯を食べて、その足でサウナに行くのが定番コース。サウナは本当に好きで、よく行きます。裸の付き合いじゃないですけど、真面目な話もくだらない話もオープンにできるし、身体まで整っちゃうので最高です(笑)。

─ 4月より放送中のドラマ『MADDER その事件、ワタシが犯人です』は、どのような作品になっていますか?
一言で言うと、学園サスペンス。ただ、学生の日常シーンやコメディ要素も多く描かれていて、既存のジャンルで括るのは難しい話だなと思います。その複雑さこそ、この作品の魅力。ストーリー展開やキャラクターの心情変化が目まぐるしく、序盤は軽い気持ちで観てくださっていた方も、話数を重ねるごとに、どんどん深みに引き込まれていくような作品になっています。
─ 樋口さん演じる江藤新はどういった役どころですか?
学園のリーダー的な存在です。みんなを見下しているようなところがあって、初めは「なんだこいつ……」と嫌悪感を抱かれるような描写や台詞も多いのですが、物語が展開するなかで、内面の部分が紐解かれていき、どんどんとその印象が変わっていくキャラクターだと思います。役づくりするうえでは、“ただの嫌な奴”にならないよう心がけました。高校生という、子供のような大人なような、そんな曖昧な時期をまさに体現したようなキャラクターなので、自分を大きく見せたり、人を下に見るような発言も、じつは本心を隠すための虚栄だったりする。そんな彼の不器用さや繊細さを演技から汲み取っていただけるよう意識しました。段々と可愛らしいところもあるじゃん、不思議と憎めないな、と思っていただけたら嬉しいです。
─ 撮影で印象に残っていることはありますか?
学校を舞台にした作品に出演させていただくのが初めてだったので、すべてが刺激的で楽しかったです。プロデューサーさんに「役柄的にも、みんなを引っ張っていく存在になってほしい」と言葉をかけていただいて、緊張もありましたがとても気合いが入りましたね。あと、物語の後半に1話まるっとほぼほぼ会話だけで構成されたエピソードがあるのですが、長台詞を覚えるのに苦労しました。今後のストーリー展開に関わる重要な言葉やヒントが散りばめられているので、ぜひ注目して観てほしいです。

─ 現場の雰囲気はいかがでしたか?
同世代も多く、みんなお芝居に対してすごく熱心で、刺激と学びをたくさんいただいた現場でした。なかでも、仲野茜を演じた五百城茉央さんは、地上波連続ドラマ初出演にして初主演とのことで、プレッシャーも大きかったと思うのですが、監督と意見を交わしながら堂々と演じ切っていてかっこよかったです。
─ ご自身の初主演の時と重なりましたか?
僕より全然すごいです!(笑) 自分の初主演を振り返ると、「どうしよう」「これで合ってるのかな」という不安や緊張でいっぱいいっぱいだったように思います。スーパー戦隊シリーズでは、共演者も初芝居という方が多くて。だからこそ、お互いに切磋琢磨して乗り越えられたことがたくさんあるし、成長や自信に繋がったかけがえのない作品ではあります。五百城さんも、いろいろな悩みや不安を抱えていたとは思うのですが、現場では弱気な姿は一切見せないどころか、周囲にも気を配っていて素晴らしいな、と。自分も負けていられないですね!
─ 今後の見どころを教えてください。
これまでは学校内で起こる小さな事件にフォーカスが当たっていましたが、そこから次第に火種が大きくなっていき、やがて日本全体を巻き込むような大事件へと展開していきます。これまで起こった事件の数々は結局誰の仕業なのか、flumpoolの山村隆太さんが演じる黒川悠とはいったい何者なのか、というところも注目ポイントですね。あとは、茜に翻弄されていく江藤をぜひ楽しんでいただけたらと思います!
─ 役者として今後演じてみたい役柄はありますか?
以前、大学生の青春ストーリーを描いた『ネムルバカ』という作品に出演させていただいたのですがそれがすごく楽しくて、学生に限らず青春を生きる役をまた演じてみたいです。その時代に感じていたこと、その時代に恋した人、その時代に高め合った仲間、その時代の葛藤など、誰もが一度は経験したことがある“あの時”を懐かしめるような役柄を演じたいなと思っています。また、歳を重ねていくなかで、色気で魅せるような役が来たら「任せろ」と自信を持って言えるような俳優を目指したい。主人公ではなくても、印象を残せるような役で勝負できたらいい俳優だなと思いますね。

樋口幸平
2000年11月30日生まれ。兵庫県出身。2019年、芸能事務所にスカウトされたことをきっかけに芸能界入り。2022年放送のスーパー戦隊シリーズ『暴太郎戦隊ドンブラザーズ』で主演に抜擢。その後、ダブル主演を務めたドラマ『体感予報』が世界的大ヒットを記録し、海外からも一躍注目を集める。現在、関西テレビの「カンテレ×FODドラマ」枠にて放送中の『MADDER その事件、ワタシが犯人です』に、江藤新役として出演。
Photography: TAKAO IWASAWA @The VOICE
Hair & Makeup: YOSUKE AKIZUKI
Styling: BUMPEI MATSUMOTO
Edit & Interview: YUKA ENOMOTO
こちらの情報は『CYAN MAN 2025年6月号』に掲載された内容を再編集したものです。